Talk02

久野洋平×八木優樹 (KEYTALK)

(取材・文 / 西廣智一)

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■同世代のバンドと仲良くし過ぎないようにしてた(久野)

──この対談は久野くんからの指名で八木くんに決まったそうですが。

久野 そうです。たぶん僕と八木ちゃんの関係が世間に誤解されてると思うので、ちょっとゆっくりと説明の場が欲しいなと思いまして。ネット上では僕が八木ちゃんの彼氏と思われてるからね(笑)。

八木 あははははは!(笑) えっと、間違ってません(笑)。

久野 本音としては、仲がいいわりに真面目な話ってじっくりしたことがなかったからで。普段は酒を飲みながらふざけることが多いので、一度ゆっくり話してみたいなと思って指名しました。

八木 うれしい! ありがとうございます。楽しいっすね!(笑)

久野 この相思相愛みたいな雰囲気はちょっとイヤだなあ(笑)。

──では最初に2人の馴れ初めといいますか(笑)、知り合うきっかけから教えてもらえますか?

八木 友達のバンドが企画ライブをやるときに、cinema staffと僕らKEYTALK……その頃はrealという名前だったんですけど、その2組を誘ってくれて。そこで僕はシネマのことを知りました。

久野 下北沢GARAGEだっけ? もう7、8年前ですね。

八木 Second-Hand Big Fishってバンドの、2回目の企画ライブでしたよね。

久野 GOOD ON THE REELも出てたよね。僕らは当時CDもまだちゃんと出してない時期で、東京に来るのもたぶん3、4回目ぐらい。KEYTALKの(首藤)義勝(Vo, B)はその頃もう1つ、the cabsというバンドもやっていて、そこであいつが高校生の頃に出会ってるんです。あとで「義勝、the cabs以外にもバンドやってるらしいよ」とKEYTALKを知って。当時はrealって名前だったけどね。偶然僕らもcinema staffの前のバンド名がREALだったので、「そんなクソだせぇバンド名でやってる奴らがいるんだな」とそのときは思った(笑)。

八木 あはははは!(笑)

──以前同じバンド名だったというのも不思議な縁ですね。

久野 そうですね。懐かしいなあ。

八木 初めて対バンしたときにシネマのリハを観たんですけど、すげえカッコいいと思って。実際ライブもヤバくて、普通に音源買いましたもん、「CHANGEUP E.P.」(会場販売していたデモCD)を。それからずっと聴いてましたよ。

久野 え、マジで? 言ってくれたらあげたのに。

八木 でもその日、シネマのメンバーと全然会話できなくて。

久野 そうだよね。僕もその日初めてKEYTALK……当時のrealを観て、義勝がコーラスしてたことや、(小野)武正(G)がすごい顔でギター弾いてたことが印象が残ってます。あとドラムがうまかったなって。

八木 いやいや。普通でしたね、あの頃は。

久野 でもかなりテクニカルなことをしてたよね。僕もそのときにもらったデモ、いまだに持ってるもん。「DAYBREAK SMOLDER」とか入ってるやつ。昨日それを思い出して聴いてたんですけど、結構いいっすよ。

八木 わっ、マジですか(笑)。それは2ndデモですね。ちょうどポストロック的なものにハマっていた時期です。

──なるほど。そこからどうやって親睦を深めていったんですか?

久野 シネマとKEYTALKがバンドとしてちゃんと仲良くなったのは、本当にここ3、4年くらいなんです。お互いに飲みの席で顔を合わすことはあったんですけど、僕はずっと八木ちゃんは絡みづらいと思っていて(笑)。

八木 えーっ、ひどい(笑)。

久野 いや、僕は後輩が苦手なんですよ。後輩に下から来られると自分が何言っても上から言ってる気がしちゃって、家に帰ってから「なんか偉そうなこと言っちゃったなあ」って落ち込むんです(笑)。八木ちゃんって「(大きな声で)おはようございます! 本日はよろしくお願いします!」「今日、ドラムどうでした?」って来るから、そこでアドバイスとかしても上から言ってるようになっちゃうのがイヤでさ。

八木 実際、久野さんのほうが年上ですしね。

久野 いや、1こしか違わないから!(笑) で、3年くらい前に義勝から「ツーマンでツアーに出てくれませんか?」って連絡が来て、2本一緒に回って。それまでは僕、同世代のバンドとあんまり仲良くし過ぎないようにしてたんですよ。

八木 そうだったんですね。

久野 同世代のバンドと常につるんでる感じがちょっとイヤだったというか。だからたまにお互い大事なタイミングで一緒にやったとしても、そこからしばらく一緒にやらないようにしていたんだよね。それでKEYTALKともしばらく一緒にやってなかったけど、たまたま誘いが来たから「お、このタイミングなら面白いかも」と思って。

八木 そのツアーのアンコールで、久野さんに僕らの「ストラクチャー」って曲を叩いてもらって。

久野 懐かしいなあ。そのツアー2本がかなりデカイですね。

八木 そうですね。で、その後に今度は僕らがシネマのツアーに出させてもらって。その年はツーマンをいっぱいやりましたよね。

久野 学祭にも一緒に呼ばれたし。結局5本くらい一緒にやりました。

■シネマは僕の中ではすべてを兼ね備えたバンド(八木)

──久野くんはKEYTALKの魅力ってどこだと思いますか?

八木 やっべえ! これ、やばいっすね(笑)。

久野 あははは(笑)。僕が特に魅力を感じ出したのは「MABOROSHI SUMMER」が入ってる「KTEP2」から。自分の中ですごくしっくりきて、気付いたらめっちゃリピートしてたんです。で、1つ前の「SUGAR TITLE」も聴き返したらやっぱりよくて。それからですね、KEYTALKいいなって思い出したのは。

八木 ああ、うれしいです。僕らもそのへんの作品がひと皮剥け始めてきた時期だったんで。

久野 「KTEP2」の4曲がすごく吹っ切れてる感じがしたんですよ。カッコつけてるところがなくなっていい振り切れ方をしていて、そこが潔くて僕の中でカッコいいなと思えたんです。それってシネマにはできないことだったんで、羨ましさも感じてましたね。そこを今どんどん突き詰めてるから、僕はKEYTALKが好きなんです。

八木 何やってもカッコ付かないんですよね。

久野 いや、昔の感じもカッコよかったけど、そういうバンドはいっぱいいるからさ。今みたいな振り切れ方をしてからは他のどのバンドにも似てない唯一無二の存在になったような気がして、それがいいなっていう。

八木 人間的にも今のほうが合ってる気がしますし。

──一方、八木くんから見たcinema staffの魅力というのは?

久野 うう……恥ずかしいな、これ(笑)。

八木 いやあ、もうすべてですね。音楽はもちろんめっちゃカッコいいですし、音楽に対する姿勢もカッコいいですし、その人柄も僕自身こうなりたいって思えるという、僕の中ではすべてを兼ね備えたバンドなんです。シネマって昔は硬派なイメージだったんですよね。今も硬派なんですけど、最近はちょっとハートフルな感じを前に出してる印象があって、それもいいなと思うし。そういう真面目なところは持っていたいなって、cinema staffを見ていつも思ってます。僕らはそういう部分を前面に押し出すわけではないですけども、魂的にはそういうのを持ってるつもりです。

久野 いや、持ってると思うよ。それもあるから、僕はKEYTALKが好きなんだよね。でも自分たちではそんなに硬派なつもりはなかったんですけど。ただ暗かっただけ。MCが暗かったっていう(笑)。

■ライバルとして見てます(久野)

──それではドラマーとしては、お互いのことをどう見てますか?

八木 ドラマーとしても、久野さんになりたいですね(笑)。

久野 めっちゃ褒めるやん(笑)。

八木 いや、素直にそう思います。さっき久野さんに「ストラクチャー」を叩いてもらった話をしたじゃないですか。そのとき、「この音がKEYTALKにあったら、もっとカッコよくなるな」と普通に思って。

久野 マジで? めっちゃうれしいなあ。

八木 はい。音にすごい芯があるんですよね、久野さんのドラムって。僕もそういうのを目指して練習をしてるんですけど、なかなかできなくて。ドラマーって楽曲に対して前のめりにアプローチする人と、後ろに引っ張ってアプローチする人の2タイプいると思うんですけど、久野さんはジャストから後ろめで楽曲のよさを生かすんです。歌を前に出しつつボトムを支えるドラミングで、僕にとっては歌モノのバンドをやる上では理想的なドラミングなんです。だから本当に久野さんになりたいんです(笑)。

久野 恥ずかしいな、目の前で褒められるのって(笑)。

八木 それでいて、シンバルとか金モノはすごく優しくて繊細な音がしていて。パワーヒッターってシンバルも結構しばきがちだと思うんですけども、久野さんの場合は耳障りじゃないっていうか。

久野 あ、それは一時期しばき過ぎて、気をつけるようにしたからかな。フェスとか出始めたときに、ドラムの音がちゃんと外に届いてない感じがしたんだよね。

八木 ああ、わかります。自分たちの中だけで叩いてる感じというか。

久野 そう、ステージ上だけで完結しちゃってる感じがして、後ろのお客さんまで自分のドラムが届いてない気がして。例えばキックとスネアとハイハットでリズムを取るとき、全体的に腕を大きく振って叩くとハイハットもめちゃくちゃデカい振りで叩くから、外から聴いたといにハイハットの「シャンシャンシャン」って音にしか聞こえなくなっちゃう。むしろキックとスネアの「ズン、ダン」のほうが大事じゃないですか。そういうことを意識し出してから、金モノに気を遣うようになったんだよね。

八木 僕もここ1年半ぐらいでやっとそれに気付いて。

久野 デカいステージに立つと気付かされるよね。

八木 そうですね。あと、久野さんのフレージングも好きです。シネマの曲作りって、最初の段階と完成してからではドラムのフレージングって結構変わるんですか?

久野 ていうか、ドラムは曲作りの最初の段階では付いてないの。

八木 あ、そうなんですね。

久野 KEYTALKって打ち込みで作ってきたものを元にしてるんでしょ?

八木 はい、それをバンドでアレンジしてます。

久野 シネマは三島が曲を作るんだけど、大体は三島が弾くギターに合わせてドラムのフレーズを作るんで。

八木 ああ、なるほど。

久野 だから何も言われないときは、自分が今叩きたいフレーズを入れる。まあAメロ、Bメロ、サビとあったとしたら、なるべく僕はどのパートでも全部一緒にならないような作り方をしてます。

八木 それがすごい上手なんですよね。押し引きがすごい上手で叩き過ぎてない、でもドラマー目線的には変で面白いことをやってる。しかもそれが曲に合っていてカッコいい。そのバランス感覚に長けてるんですよね。普通はサビですごくシンプルに叩くことが多いじゃないですか。

久野 そうだね。あんまりやり過ぎると歌とぶつかるから。

八木 でも久野さんはその押し引きがすごい上手で、僕も真似したいなって思うんです。

──続いて久野くんから見た八木くんのプレイは?

久野 僕は八木ちゃんとは好きなドラムのタイプが似てるんじゃないかなと思うんですよね。僕はもともとパンクが好きで、速いビートが好きだったんです。だから八木ちゃんのドラムは、僕がそのまま速い曲中心のバンドをやっていたらこうなりたかったなっていう、わりと理想形というか。気持ちいい疾走感がありつつ、ちゃんと間に「おっ!?」って耳を引くフレーズが挟まってる。さっき八木ちゃんが僕になりたいって言ってくれましたけど、僕もそういうバンドだったら八木ちゃんみたいなドラムが叩きたかったかもしれない。なんか恥ずかしいですけど(笑)。

八木 恥ずかしいけど、うれしーっ!(笑)

久野 (笑)。あと、ドラマーとしてグッとくるフレーズを要所要所に入れてくる。僕、同じビートがずっと続くと退屈に思っちゃうんですけど、八木ちゃんのドラムはそう思ったことが一度もないですね。

八木 お、久野さんに近付けてますね!

久野 そもそもそんなに離れてると思ってないから(笑)。本当は僕、八木ちゃんのほうがうまいと思ってるんで。realの頃から比べると格段に成長してると思うし、最初にツーマンをやったときは結構ビビったんだよね。昔はわりと音が軽いイメージがあったんだけど、ここ最近は観るたびにドッシリしてきていて頼もしいというか。僕のドラムを好きと言ってもらえてるからには負けないようにと、ライバルとして見てます。

八木 恐縮っす!

■「鶴の一声」って久野さんだったんですね(八木)

久野 「blueprint」は聴いた?

八木 はい。

久野 ちょっと感想を聞こうかな?

八木 ……めっちゃいいっすね!

久野 マジで?

八木 はい。1曲目(「陸にある海」)にはすごくビックリしましたけど。なんだろう、パッと聴いて、ドラムのパンチ力がすごく上がったように感じました。

久野 なるほど。今回は井上うにさんっていう椎名林檎さんとか東京事変とかをやってるエンジニアさんに録ってもらって。

八木 ああ、あのバツバツの音を。

久野 そう。だから結構エグい音もあるよね。

八木 しかも、あの轟音バンドサウンドの中にちゃんとスネアの余韻が聞こえるっていう。

久野 スネアについては「今回はパンチのある音にしたい」と、かなり話し合ったな。

八木 スネアはLudwigですか?

久野 Gretchだね。ビンテージの借り物なんだけど、たぶん60年代とか70年代とかの古いやつ。ボロボロなんだけど、めっちゃいい音がするんだよね。ここ2作ぐらいのレコーディングでよく使っていて、今回は全曲で同じのを使った。

八木 そっか、そういうことなんですね。iPhoneのスピーカーで聴いてもすごく気持ちよかったです。

久野 ありがとうございます(笑)。

八木 そうだ、「竹下通りクラウドサーフ」の「1、2、3!!」って誰が言ってるんですか?

久野 高いほう? あれは三島。すげえマニアックな質問してきたな(笑)。

八木 そうなんですね。僕の中で辻さんか久野さんかと思ってたんですけど。

久野 最初は全員で言うことになってたんですけど、ダサいなって話になって。チープなくらいがいいかなってことで、今みたいになったの。

八木 なるほど。あと、飯田さんは酒を飲みながら歌を録ったって、風の噂で聞きましたが。

久野 「はじけたい!」とか言って、「竹下通りクラウドサーフ」のボーカルだけ酒を飲みながら録ったよ。でもテンポが走り過ぎたり叫び過ぎたりして、結局やり直しになって(笑)。ちなみにどの曲が一番好き?

八木 それ言われるだろうなと思って考えてたんですけど、全部好きです(笑)。

久野 出たよ(笑)。

八木 シネマの音源っていつもそうなんですよね。でも今の気持ちだったら……うーん……たぶん「exp」とか。

久野 ああ。「exp」って意外とバンドマン人気が高くて。あの曲、最初はめっちゃ遅い曲だったんだよ。

八木 あ、特設サイトの楽曲解説で見ました。

久野 で、僕が速いのが合うんじゃないかと言って。

八木 「鶴の一声」って久野さんだったんですね。

久野 そう。「これさ、速くしたいんだけど?」「速くってテンポ2とか4とか上げるくらい?」「いや、普通に30ぐらい」みたいなやりとりして(笑)。

八木 あははははは!(笑) 面白い!

久野 この対談で「鶴の一声」が僕ってことがバレちゃった。三島にはすげえイヤな顔されたけどね(笑)。

■地道にやった結果が今ちゃんと出てるのが素晴らしい(久野)

──久野くんは先ほど、以前は同年代のバンドとあまり絡まないようにしてたと言ってましたが、そこについてもう少し詳しく聞かせてください。

久野 昔も今もなんですけど、同年代のバンドって自分たちにとって貴重な存在で。昔は大事だからこそ、お互いに必要なタイミング以外はあんまり馴れ合わないようにしてたんです。でも最近はみんな結構長く続けてきたし、むしろしのぎ合いたいな、対バンしたいなって気持ちのほうが強くなってきて。みんな中堅になってきたからこそ、一緒にやりたいなと思うようになりました。

八木 それはすごくわかります。

久野 KEYTALKとのツーマンのときも義勝から一緒にやりたいって直でメールが届いて、そのときに同年代と絡むのも悪くないなと改めて思ったぐらいで。うれしかったですよ、誘われたときは単純に。しかもお互いにちゃんとお客も入るようになったし。7、8年前に僕らが初めて対バンしたときはお客が全然入らなかったしね。しかも地方でツーマンをしてこんなにたくさんお客が来てくれるようになったことに、単純に感動しちゃって。

八木 本当ですね。

久野 ね? なんか、がんばってよかったなと思って。

八木 この年になると音楽をやめちゃう人も多くて、同年代のバンドもどんどん減ってますから。

──確かにそうですよね。20代後半って人生を見直すタイミングかもしれないし。

八木 そうですよね。そのタイミングって、まず22歳で1回目が訪れるんですよ。

久野 大学卒業のタイミングで、半分ぐらい減って。で、20代後半に入るとみんな再び人生を考えるんです(笑)。だから、そういうタイミングでKEYTALKとまたツーマンができて、しかもちゃんと盛り上がってるというのはお互いにとって刺激になるよね。

──シネマがメジャーに移籍したのが今から3年くらい前。KEYTALKも1年半ぐらい前だから、それぞれちょうど20代半ばのタイミングなんですよね。

久野 そうですね。シネマはずっとメジャーでやりたいと思ってたけど、もしもう1、2年メジャーの話が遅かったら、僕らも結構危なかったかもしれない。それくらい、20代後半に入ると人生を考えちゃうんです。

八木 ですよね、わかります。そういう意味じゃお互い奇跡ですね。

久野 そうだね。でもKEYTALKはしっかり突き詰めて音楽を続けてきたから、メジャーデビューは当たり前の結果だと思うよ。こないだのツーマンのMCで三島も言ってたんですけど、KEYTALKってお客さんが少ないときから自己紹介とか今みたいなノリでやってたんです。注目されたくて変えたわけじゃない。ずっと続けて、ようやくお客さんが追いついて来た。それがすごくカッコいいなって。

八木 そう言われてみると、確かにそうかも。

久野 モーモールルギャバンもさ、岐阜で初めて対バンしたとき、お客さんが20人もいないくらいだったんだけど、そのときからパンティーって叫んでたし(笑)。

八木 あはははは!(笑) すごいっすね。

久野 で、何年か経ってからzeppワンマンで2000人を超えるお客さんがパンティーコールをしてるってすごくカッコいいなと思ったしね。僕はKEYTALKにも同じものを感じていて、地道にやった結果が今ちゃんと出てるのが素晴らしいと思うんです。KEYTALKがどんどん人気者になっていくのも見ていて気持ちいいし、それと同時に僕ら世代がやってきたことは間違ってなかったんだって実感できるというか。

八木 そうですね。僕らも最近になって、やっと自信が付いてきた感じはあります。

久野 やっぱり、ずっと続けてきたバンドが最近になってちゃんと人気が出てるのは、すごくうれしいですね。でもシネマに関してはその流れとは違う感じがしていて。僕らはインディーズデビューが早かったから、最近のニューカマーイベントに全然呼ばれないんです。同い年とか、むしろ少し年上のバンドがそういうイベントにガンガン出てるのに、シネマはまったくニューカマー扱いしてもらえない(笑)。1つ前の世代と思われてるんですかね。

八木 確かにそういうイメージがありますよね。でもライブの説得力がニューカマーらしからぬ感じですもん、すでに。

久野 そんなことないでしょ(笑)。むしろ最近のKEYTALKのほうが説得力はすごいと思いますけどね、僕は。

八木 うーん……。

久野 まだ「うーん……」と思うことあるの?

八木 いや、楽しいですけど……。

久野 楽しさの方向にちゃんと突き抜けられてるじゃん。

八木 ああ、そうかも。

久野 シネマにはそれはできなかったし。シネマはいかに自分たちの感情を爆発させるかみたいな方向でしか突き詰められなかったから、楽しませなきゃいけないという場面にぶち当たったときに本気で困ったんですよね、どうしたらいいかわかんなくて。だから楽しさの方向にしっかり突き抜けているKEYTALKと対バンして、かなり勉強になりましたもん。

■僕は特別な存在なんですね(八木)

──この2人が30歳を超えたときにどうなってるのかも気になりますね。

八木 面白そうですよね。

久野 正直「八木ちゃんがもう26?」とか思うもん。感覚的には出会ったハタチの頃で止まってるんだよね。だって自分も今年で28だよ? ビビらない?

八木 ビビります! お兄さんですねえ(笑)。

久野 あはははは!(笑) バンドマンって普通の人と比べるとどこか時間が止まってるところがあるよね。地元に帰って普通にサラリーマンやってる友達と飲んだりすると、自分の精神年齢がいかに成長してないか思い知らされるし(笑)。

八木 それ、すげえわかります(笑)。

久野 でもこないだ打ち上げで武正としゃべってるとき、自然と確定申告の話になったときはちょっとイヤだなと思ったけど(笑)。

八木 あはははははは!(笑)

久野 さすがにお互い年取ったなと思ったけど。税金対策の話とかし始めてさ(笑)。でも、仲のいいバンドマンって年に何回会ってるかっていうと、意外とそんなに会ってないんです。不思議な関係なんですよね。メチャクチャ仲良い奴でも毎週会ってるわけでもないし、でも会うとすごく深い話ができたりする、特別な存在なんですよ。

八木 ……僕は特別な存在なんですね。

久野 何そこを噛み締めてんねん(笑)。

──そこが同じバンドのメンバーとは違う関係性なんですね。

久野 そうですね。メンバーとはほぼ毎日会ってるんで。

八木 誰よりも会ってますもんね。

久野 よくインタビューで「みんな仲がいいんですか?」って聞かれるんですけど、仲良い悪いとかじゃないよね。別に仲がよくても毎日会いたくはないし(笑)。

八木 あははははは(笑)。

──今日は面白い話がたくさん聞けましたし、2人の関係も改めて読者に理解してもらえたんじゃないかと思います。

久野 たくさんしゃべっちゃったね?

八木 はい(笑)。もうこのまま飲みに行きたいですもん。

久野 本当だよ!(笑)